当時、この展示のオープニングに行って購入しました。タカ・イシイギャラリー 刊(2014年)300部限定ソフト・カバー、64頁掲載作品102点H14 x W21 cm2013年10月、右眼網膜中心動脈閉塞症により右目の視力を失いながらも、以前と変わらない精力的なペースで制作し続けた作品群から102点を収めたものが本作品集。撮影したポジフィルムの右部分を黒マジックで塗りつぶし、そのポジからプリントした本シリーズの作品では、写真はそのまま左眼と右眼の視界を投影し、右側部分は翳りのある視界を表している。「左眼ノ恋」というタイトルは、エド・ヴァン・デル・エルスケンが1954年に出版した写真集『セーヌ左岸の恋』(Love o the Left Bak、1954)の題名にかけており、20歳の頃に女性にエルスケンの写真と同じポーズをさせて撮影を試みていたという荒木のエルスケンへのオマージュでもある。前立腺癌を乗り越え、その後右眼の視力を失う事実に直面しても、精力的に撮影を続ける荒木の現在を映す一冊。